AVの撮影で童貞を喪失の話
僕は大学を卒業するまで童貞であった。いまの僕を知る編集者たちは、うそもほどほどにしろと言うのだが、事実だからしかたがない。あのころの自分は異性としゃべれない情けない男だったのである。童貞のまま大学を卒業するのはなんとか避けたかったが、ソープ(当時はトルコ風呂と言われた)に足を運ぶ勇気はなかった。
友人が「トルコで筆下ろししてきた」と報告するのを聞くたびに、自分の不甲斐なさを噛みしめたものだ。卒業して一年半ほとしてから物書き稼業に足を踏み入れ、週刊大衆のソープ取材やノーパン喫茶探訪をやらされてずいぶん鍛えられた。
千葉県の漁村で人妻売春があると聞けば潜入して、ゴリラのようなおばさんを抱き、浅草で外人売春があると聞けばフィリピーナと接触して、しっかり尿道炎を移され、学生ホスト連盟という記事をでっち上けて書けば、集まってきた地味な人妻たちと上野や湯島のホテルで抱き合った。仕事抜きで女を買うようになったのも二十代半ばからであり、なかには恋愛した子も数人いた。飲む・打つは卒業したが、女だけはいまだに卒業できないでいる。年を経てからおぽえた快楽はほんとうにのめり込むものだ。
ターザン八木というAV監督がいる。この男もまた僕同様22歳まで異性というものを知らずに生きてきた。事務所には若い女の裸のポスターがあちこちに貼られている。おかしい気もしたが、即採用になったので社員として八木は働くようになった。
翌日気ついたのだが、彼が入社したのはクリスタル映像というAVメー力ーであった。そこのスタッフだった村西とおる監督はハワイで撮影中に逮捕されてしまい、八木は外部の監督につれられて撮影スタッフとして働くようになった。
童貞だったこともありナマの裸が見られるんだから、このままここで働くのもわるくはないとハ木は思い、最初は音声スタッフをまかされ、マイクの長い竿を持ち、女のあえぎ声を収録した。初めて目撃するナマの女の裸体、さらに女性器に陰茎が挿入されていくシーンまですぐ目の前で繰り広けられる。竿を持ちながらハ木青年は自分の竿まで固くさせてしまったのはいうまでもない。
ある日、撮影現場で八木青年が童貞であることを知った監督か、「じゃ、ビデオでやってみるか」とすすめた。ためらいもあったが沸き上がる性欲には勝てず、とうとう八木青年は本邦初、ビデオで童貞喪失の大役をになうことになる八木青年はぎこちなく女体にさわりながらも正常位で挿入し、後背位、騎乗位とこなし、さらには顔面シャワーまでやりとげてしまった。本物の童貞喪失が見られるこの作品は「やめてけれズボズボ」というタイトルで発売され、いまもまぼろしのお宝ビデオとしてマニアのあいだでは値がついている。
司法取引により半年ぶりで故国に無事もどってきた村西監督は、休むまもなく助監督の日比野正明や八木青年をつれて北海道ロケに旅立った。このときから村西監督のなぐる蹴るのスパルタ指導が本領を発揮し、いつしかハ木たちはサントバック軍団と呼ばれるようになる。軍団員たちは男優もつとめなければならないので、八木青年もまた連日からみをやるはめになってしまった。顔面シャワーの言葉とともに村西監督が考案した駅弁ファックという変則体位がある。挿入したまま駅弁売りのように女を抱きかかえ「駅弁駅弁」と声高に言いながら行進のように歩くのである。それまで駅弁歩行記録は村西監督が成し遂げた803歩であったが、「駅弁大将物語」で八木青年はついに873歩の世界新記録を樹立してしまう。
フイリピンバブに八百万
盆も正月も休みなくサントバッグ軍団は村西監督とともに社屋に寝泊まりしながら働いていた。十人採用しても九人が脱走し残ったひとりも三カ月もてばいいほうだった。その点、日比野正明・ターザン八木はよく働いた。
日本一働くサラリーマンといつても過言ではないだろう。ダイヤモンド映像が四十億円の負債をかかえ倒産同然に追い込まれ、日比野正明が抜けしばらくしてターザン八木も抜けていった。ターザン八木はビデオで七百人近くの女とからみ、絶倫男優になっていた。
サンドバッグ軍団から抜けた八木はAV維新の会を結成して仕事にはげむのだが、ひとつだけ困ったことがおきた。いままで素人の女性と遊んだことがないので、とうやってベッドまで持ち込むか途方に暮れてしまうのだ。
しかもいままで抱いた七百人近くの女はすべてビデオカメラがまわっている場所である。ソープでもヘルスでも八木はとまどうばかりだった。カメラがまわっていないとろくに女と口がきけない。遊び音痴のターザン八木が行き着いた場所は歌舞伎町のフィリピンパブであった。なかでも一ハ歳の愛称テスというフィリピン人女性が八木のお気に入りになった。たどたどしい日本語でお酌するテスなら、八木も日本人女性に感じる引け目もない。
オープンから店か閉まるまで八木は居つづける。テスがほかの席につき客にお酌すると、八木はテーブルの上の灰皿で自分の頭をボカボカなぐりつける。村西監督とともに六年間毎日のように焼き肉を食いつづけてきたせいか、ニ十八歳だというのに八木の頭は薄くなり田心い切って坊主にしていた。坊主頭で屈強な男が灰皿でボカボカやったり、さらに勢い余って壁に頭を打ちつけるものだから、店側もテスを八木に優先的にまわさざるを得ない。
毎晩通い詰めるうちに金がなくなってきても、途中で店を抜け出して近くのサウナで汗をかき、閉店時間ぎりぎりに入店すればいくらか金が節約できた。
こんな通い方をしているうちに二年間でフィリピンパブに八百万円を注ぎ込んでしまった。
続いてユーザーが個人撮影した動画・画像を販売できるサイトの話
いわばエロ動画のフリーマーケットなのだが、他の類似サイトに比べ、どうも被写体の年齢が低いような気がする。ほとんど18、19才の女なのだ(それ未満はもちろんいない)。
ハメ撮りやエンコー動画の隠し撮り、制服やスク水といったコスプレ、下着売り女の生脱ぎを撮影したものなど、様々なジャンルで素人感の強い動画や画像が売られているが、中でもオススメなのがオイルマッサージ系の動画だ。
AVのオイルマッサージは年齢層が高めだし、わざとらしく身体をくねらせたりするので、どうも興奮できない。その点、ここで売られている動画はピチピチの10代ばかり。水をはじくほどハリのある肌が、オイルでテカテカになっていくのがたまらない。若干女が不機嫌そうなのもリアルだし。お約束のセックスシーンもカメラアングルがお粗末だったり、男の腰使いがヘタクソだったりするが、そこもまた個人撮影らしさが出ていて興奮を搔き立ててくれる。
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